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金銭の時間的価値
金融業界(ファイナンス)では、「今日の1円は明日の1円よりも価値がある」という考え方をする。これは、①今日の1円は銀行に預金すれば金利を稼ぐことができる、②明日の1円は今日の1円に比べて不確実である、という理由からである。
②の不確実性には、期待していた額面の金銭が手に入らない(例えば、明日1円入手できると思っていたが、結局0.9円しか手に入らなかった)場合や、インフレーションやデフレーションにより金銭の購買力が変化する(たとえば、1円を手に入れることができても、インフレで値段が上がり、予定していたものが買えなかった)場合がある。
ここでは、お金の時間価値(Time Value of Money)の考え方を学び、将来価値、現在価値の理解を深めることを目標とする。CFAの試験では指定の関数電卓(Texas Instrument 社 BA Ⅱ Plus)を用いるので使用方法に慣れておく必要がある。
※ 当サイトの説明は TI 社 BA Ⅱ Plusを前提とする。
1.金利とは?
現在の消費を延期して貯蓄という行動をとる場合、貯蓄することによる将来の価値がより望ましいという理屈づけが必要になる。いわゆる「貯蓄する理由」である。このようにタイミングの異なるお金の価値を比較するための方法が必要となります。ファイナンスでは将来価値を金利で割り引くことで現在価値を引き戻す操作を行う(割り戻された将来価値=現在価値)。将来価値がベースとなる前向きな考え方である。
将来キャッシュフローを割り引くための金利(要求収益率 : required rate of return)は、
① Real Risk-free Rate:実質リスクフリー金利
② Expected Inflation:将来のインフレ率の影響を割り引くためのプレミアム部分
③ Risk Premium:将来キャッシュフローの発生時期、金額の不透明さに応じて割り引くためのプレミアム部分
Required Rate of Return = Real Risk-free Rate + Expected Inflation + Risk Premium
Risk Premium には、デフォルトリスク(default risk)、流動性リスク(liquidity risk)などが含まれる。
基本的に、投資は満期時に再投資されると考える。再投資を前提とした考え方が複利(compound)である。金利は、以下のような呼ばれ方がある。
金利の種類
① Required rate of return:要求収益率
投資家に投資しようと思わせる最低利回り
② Discount rate:割引率
将来キャッシュフローの現在価値を求めるための金利
③ Opportunity cost:機会費用
特定の投資を行うことで他の投資機会が失われる、その失われた投資機会による収益のこと
④ Invester’s demand rate:
⑤ Expected rate of return:
⑥ Hurdle rate:
⑦ Market rate:マーケット・レート
⑧ Risk free rate:リスクフリー・レート
将来価値 (Future Value)
複利計算を前提とした将来価値は下記の計算式による。
FV = PV (1 + ip )np
ip = i / m
np = mn
FV:将来価値 (future value)
PV:現在価値 (present value)
ip:ある特定期間の金利
np:複利計算を行う総期間数
i:年率 (annual rate of return)
n:投資期間 (年数)
m:1年間で何回複利運用を想定するか
(半年ごとなら2回、四半期ごとなら4回、月次なら12回)
【例題】$1,000を年率6%で複利運用するとする。金利は年1回払い。4年後の元利合計はいくらになるか?
答え:
金利は年1回払いなので m=1。
現在価値 PV=1,000。
ip = i / m = 6% / 1 = 6% / year
np = mn = (1) (4 year) = 4
FV = PV ( 1 + ip ) = ($1,000) ( 1+0.06 )4
= $1,262.48
電卓の場合:
-1,000 → PV
6 → I/Y
0 → PMT
4 → N
CPT → FV
【例題】$1,000を銀行に預ける。金利は年率6%で四半期ごとに受け取る。四半期ごとの複利運用を前提とすれば4年後の元利合計はいくたになるか。
答え:
金利は年4回払いなので m=4。
PV=1,000。
ip= i / m = 6% / 4 = 1.5% / quarter。
np = mn = (4) (4years) = 16
FV = PV ( 1+ ip )np
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